ミニレゾのミカタ

『ニートのいずみくん』の日記的なログ

ことばってのは

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ヒロコおばさんからの手紙

ヒロコおばさんから、手紙が来た。ハガキで来た。ヒロコおばさんからのハガキは、いつも切手が何枚も貼ってある。決して一枚じゃあいられない。余すところなく、かつ、柔軟にして、この鹿さんたちを並べ貼る。

 

このハガキは18日に投函されたのか、受理されたのか、うすく印が押してある。ヒロコおばさんは、どんな気持ちでこのハガキをポストに投函したんだろう。散歩の途中に出したのかな。買い物の帰りに出したのかな。

ヒロコおばさんの手って、どんなだったっけ。

 

僕がヒロコおばさんに手紙を出したのは、いつだったかな。仕事が始まってすぐの頃か、僕の誕生日をすぎた頃か、、、そのくらいだったと思うのだけれど。ともかく、この手紙は、忘れた頃にやってきた。

とかく手紙というのは、そのくらいが丁度いいのかもしれない。

 

ヒロコおばさんの手紙は、いつも、どこか的外れ。というか、手紙に乗せて遠くから言葉を届けてくれると言うより、ずーっと、ヒロコおばさんのひとり言を眺めているような手紙。ラジオの雑談に聞き耳を立てているような、その感覚にも近い気がする。

本当に心に届く言葉というのは、息している空気のような、風に揺れる木々のような、鳥のさえずりのような、そんなありふれた日常のようなものなのかも。

届けるでもなく、伝えるでもないヒロコおばさんの言葉。

ちゃんと胸の真ん中に響いてくるのは、不思議だなあ。

 

ヒロコおばさんの手紙の中に、こんな言葉があった。

まったく、自然の力というのは

良くも悪くもすごいものですね。

その前では、文明文化というもののすばらしい力も

「便利は不便」ということに。

 

ああ、確かにそうだなあ。

こうして手紙が届くことの喜びが、より一層、僕の胸をいっぱいにする。

 

ありがとう、ヒロコおばさん。

 

 


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ことばってのは

ことばってのは、水のようなものだと思う。

 

水っていうのは、それに込められた温度というものを、触れた者に対してそのままに伝えることができる。

 

あたたかい水は、身体中をあたためて心をもあたためて、おおらかにしてくれる。

ひんやりした水は、ほてった体と頭と感情を落ち着かせ、軽やかにしてくれる。

熱湯のようになった水は、触れた者を溶かし、ひどく傷つける。

凍るほどに冷たい水は、触れた者に孤独と死を与える。

 

水っていうのは、様々に変化する。

 

川を流れているような水は、いつも清らかで美しい。

それでいて、いつだって濁流となり周囲を飲み込む可能性を孕んでいる。

流れてゆくこともなく滞留しているような水は、少しずつ濁る。

 

濁っている水の中では、まるで自分ひとりのような孤独で体が動かなくなる。

美しい水の中では、どこまでも見渡せて思わず体いっぱいに動かしたくなる。

 

太陽の水の中は、光に溢れていてきらめいていて元気になる。

夜の水の中は、美しさは変わっていないのに、あたかも大きな闇の中に迷い込んでしまったかのように思わせる。

 

もっといっぱい。

ことばってのは、そんなかんじ。

 

 

ことばもいろいろある。

 

書きことば、話しことば、頭の中で思うことば、文化の違う者には表現しようもないことば、暗いことば、明るいことば、重いことば、冷たいことば、相手を思うことば、軽いことば、熱湯のようなことば、相手を殺すことば、自分を殺すことば、自分を隠すことば、言葉を隠すことば、救うことば、誰宛でもないことば、伝えるだけのことば、伝えたいことば、形に与えたことば、心を形にすることば、嫌なことば、好きなことば、言葉になんてできるはずのないことば、受けとめたときのことば、誤解したことば、相手を生かすことば、自分を生かすことば、ことばをわかりやすくするためのことば、誤解させることば、本当のことば、嘘のことば、愛することば、、、

 

もっといっぱい

ことばってのは、そんなかんじ。

 

 

ことばってのは、故郷をもつ、ことばは国に由来する。

鯨の国では、一つの音で「すべて」を表現し共有し伝え合うことができるという。

人の国では、ことばひとつに対する感情・環境・状況・表情・声色・強弱・態度などといったさまざまなことを、瞬時に思考する。人の国の中でも、日本人というのは、こういうことに対して過敏すぎるところがあるような気がする。

人の国の中でも、フランス人というのは、ことばというものを自分と同義と考えていて、自分にとっての〈それら総て〉をことばに委ねる。日本人のように思考するのではなく、体で表現し、心で表現する。信頼や信用ということが大切。信用できない人に対しては、全くの無表情でことばに覇気も宿せない。心がことばになる。

 

もっといっぱい。

ことばってのは、そんなかんじ。

 

 

なんか、わからんけど。

ことばってのは、そんなかんじだ。

 

 

 

 

 

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